学費支援プラットフォーム「studygift」で思う、善意の仕組みと大学の意味[日本時事ネタ]
(2012-05-28 11:30:40) by 松永英明


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ただ、京大には留年制度がなかったので、学年だけは専門に進めだ。バイトのお金だけでは英和の大辞典すら買えなかったし、ゼミの準備などしている時間もなかった。ゼミの先輩が家に電話をかけても、夜は毎日バイトのため留守にしている。いつの間にかゼミの中で「あいつは毎晩遊び回っているんだ」という噂になってしまい、それでさらに研究室に行くのが心理的につらくなった。3年の終わりに「レポートさえ出せば単位をやる」と言われたが、ちゃんとできていないのにそんな形だけ整えて単位をもらうのは失礼だと思ったので、出さなかった。

バイトの時給もなかなか上がらかったが(二年半働いてやめたときで740円だった)、ただ板前さんや他のバイト仲間が気のいい人たちだったので、割のいいバイトを探すという方向にも行かなかった。大学3年から就職活動をするのが当然ということも全然わかっておらず、リクルート社からDMが送られてきていたのも「まだ関係ない話」と放置していたら、4年になって内定が決まったという友人の話を聞いて初めて焦った。

さすがにその状態で母親も危機を感じたのか、「仕送りするからバイトをやめなさい。就職は中退でも雇ってくれるところをコネで探すから」と言ってきた。それで4年の9月に居酒屋バイトをやめたところ、祖父が倒れてその入院費用に金がかかることになり、結局仕送りはなくなった。再び困窮の時期がやってきた。結局、そこで大学を卒業するのは断念せざるを得なくなり、就職の話もどこかに行ってしまった。

そういう経験からすると、今の経済的状況では同じように「お金の問題で大学をやめなければならない」という学生は少なくないだろうと思う。

そこで思うのは、今の議論が「学費支援」となっていることだ。わたしの場合は授業料は全額免除されていた。それでも、大学生活が継続できなかったのだ。大学生活でかかる費用は、少なくともアルバイトしなくても「授業料その他の学費+書籍資料代+生活費」が担保されていなければ、時間的な問題を含めて大学生としての学問はできない。それ以外に趣味や遊びに使いたい分は、週に一、二回や休暇中のバイトで学問に差し障らないように自分で稼ぎなさい――と言うためには、上記の土台はどうしたって必要なのである。

もし「学費支援」ではなく「学生生活を継続できるための支援」というなら、単に学費にとどまらない範囲まで見込んでの支援であってほしい、というのがわたしの経験からの考えである。

studygiftにわたしが寄付しなかった理由

そんな体験をしたのだから、studygiftには期待を寄せていた。同じような苦しみの中で学業を続けたい学生は、少しでも支えたい。

それにわたしはよいと思ったものにはできる範囲で支援したいという理念を持っている。わたしが理想とする経済人は渋沢栄一である。お金は自分のためでなく社会に還元するために稼ぐものである、という理念を当然だと思っている。たとえ穀潰しに無駄遣いされることになろうと、「自分が汗水垂らして働いて稼いだ金を他人に奪われるのは許せない」なんていう考えは絶対に持ちたくないと思っている。むしろ、「いかに多くの穀潰しを養ったか」が社会的成功の基準となるのが(現実からはかなり遠いが)理想だと思っている。

これまでにもワールド・ビジョン・ジャパンやあしなが育英会に寄付してきた。その延長で、こういう試みは大いに応援したいと思っていた。

だが、studygiftの女子学生のページを見た瞬間、わたしは凍った。

「成績が下がったので奨学金がもらえなくなった」とかいう部分ではない。奨学金の成績基準が結構シビアなのはわたしも知っている。たとえそれが写真やSNSで遊んでいたのが理由だとしても、もう一度やり直したいというのならかまわない。ページを見た時点では知らなかった情報だが、たとえ彼女がヨシナガさんと同棲していようと、ヨシナガさんが修学資金を出せないというのならわたしは支援したっていいと思っている(彼女自身がスタッフというのはややひっかかるが、最初のケースというだけなら許容範囲だ)。しかし――

問題はページの右側だった。

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