学費支援プラットフォーム「studygift」で思う、善意の仕組みと大学の意味[日本時事ネタ]
(2012-05-28 11:30:40) by 松永英明


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私の使用しているMacbookAir、iPhoneなどの背面に御社のロゴやサービス名を貼り付けて宣伝します。これらの機器は学生生活、バイト、その他の活動でも常に持ち歩いて使用しています。

・御社PR活動

私のSNS(Google+、facebook、twitterなど)や普段の活動で全力を使って御社をPRします。普段の生活での御社サンプル品配布などもご相談いただければ実施致します。その他、お気軽にご相談いただければと思います。

いらん、いらん! なんじゃそれは! 支援の結果は「卒業」でいい。そんなもののために5000円を払いたいんじゃない。寄付の対価のサービスなど一切求めていない! あえて求めるとすれば、使った金の明細と、「卒業証書」を確かに手にしたという報告と、「卒業論文を読む権利」、すなわち成果の報告で充分だ。

なんで対価のサービスを提供しようとするのか。そこに大きな疑問を抱いたのだ。yucoさんは、これで伝わるメッセージは「私の性的魅力にお金を出してください」だと言ったが、わたしはそこに限定しない。なぜ「対価へのサービス」を提供してくるのか。

今時の学生事情など別にここから知りたくもない。おもしろかったイベントの話は、一々報告しなくても、自分で楽しんでGoogle+にアップしてくれればいい。サポーターの交流など全然要らない。議決など待たずに勝手に必要なものを買えばいいし、旅行にだって行けばいい。――ただ、元気に学校に通って、いろいろ学んで身につけて、結果として単位も取って、卒業したい人がいるから、金を出そうと思うのだ。つまり「結果」を出したいという人が困っているから支援したいと思ったのだ。それなのに、余計なサービスを提示してくるなんて……。

studygiftは、Campfireじゃないんだよ!

同じく家入さんがプロデュースに関わっているCAMPFIRE(キャンプファイヤー)は「クラウドファンディング」サイトとされている。興味を持った人たちから資金を募り、それでクリエイティブな事業を実現しよう、というサイトで、これは非常に素晴らしいと思う。しかし、ここで用いられている方法論をそのままstudygiftに持ち込んだのは、アウトだった。

Campfireでは、たとえば「5000円支援した人にはこれこれのサービス、10000円支援したら加えてこういうサービス」等々が段階的に設定されている。それはクリエイティブな作品のための募金だから、対価に見合ったサービスを提供するといってファンドを集めるのは自然なことである。だが、studygiftの「学生生活を送って卒業に至る」というプロセスを「クリエイティブな作品」と同列に扱うのは無理だ。そんなもの、切り売りしてほしいなどと思いもしない。もし切り売りしたとしたら、それこそyucoさんに指摘されていたように、プライバシーの切り売りでしかない。

また、これは「奨学金以外の方法で学費を集める挑戦」なのだという。いや、そんなところに「挑戦」のリソースを割かなくていい。君がやるべき挑戦は、「復学後、低迷した成績を元に戻してしっかり卒業する」ことだろう。

対価へのサービスを申し出てきた時点で、これは純粋な学資支援プラットフォームではないと感じた。だからわたしは寄付しなかった。

ワールドビジョン・ジャパンでチャイルドスポンサーになると、活動報告書も届くし、担当となっているチャイルドとの間にクリスマスカードなどのやりとりがあったりする。それがチャイルドから届くのは嬉しい――が、それが目的で寄付しているのではない。チャイルドが元気だから嬉しいのだ。そこを勘違いしないでほしい。

理念と目標と動機と方法を別に考える

家入さんの理念は崇高である。これは絶対に疑えない。まごうかたなき善意である。

目標は、佐々木さんのいう「個別包摂」としての学生支援システムの構築ということになるが、これにも問題はない。

動機は――わたしには善悪をつけることはできない。直接・直近の動機が「ヨシナガさんが彼女のために何とかお金を集めて、復学への道筋をつけたかった」だとしても、それ自体をわたしは批判する立場にない。仮に学資支援を口実に集められたお金がまったく別のことに使われることを最初から意図していたらそれは詐欺だが、それはないと信じる。とすれば、自分たちだけが潤うことではなく多くの学生への道筋をつけるという動機もあるはずだから、そこは結果次第ということになっただろう。

ただし方法は、残念ながら壊滅的にダメだった。サービス提示もダメだったし、実情を正確に伝えていなかったのもアウトだった。個人の「魅力」を集金に使おうとしたのもまずかった。やまもといちろう氏が指摘する「プライバシーを出して募金することの問題」は、根本的にこのシステム設計という方法論に関して、土台から問題があることを示している。

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