日本国憲法ことのは草案[エイプリル・フール]
(2013-04-01 07:37:30) by 松永英明


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 明治国家はまず、近代国家的な「国境」の概念を明確に取り入れ、その課程でこれまで日本ではなかった蝦夷地・琉球国を日本に組み込んだ。近代以前の国家では、近距離で接しているときをのぞいて、国境というものは実に曖昧なものであったが、ここ百数十年間のうちに地球上はジグソーパズルのごとく完全に分割され、地球上すべての地点の所属について一つまたは複数の国家が所有を主張する、もしくはどこにも帰属しないという明確なラインが引かれることとなったのだ。

 富国強兵・殖産興業を訴え、明治政府は国が一体化することを求めた。それは常に「欧米列強の植民地にならないようにする」という言葉とセットにされる。確かに当時の帝国主義の時代にあって、近代国家概念を取り入れて富国強兵に励むことは必要だったのだろう。

 だが、もはや時代は変わった。交通機関の発達はめざましく、人とものの移動が全世界的に拡大しただけでなく、グーテンベルク以来とも言われる情報革命が20世紀末から急速に進展した。それはグローバル化の流れを生み出し、近代国家概念による「国内のみの利益をはかる政治や意識」も「国境によって分けられた国籍」といったものを無効化しようとしている。もちろん、グローバリゼーションというものが地域の個性を奪うことになれば、それは悪しきグローバル化と言わねばならぬ。ただ一つの価値観が強制されるのであれば、グローバル化は人類に不幸をもたらすだろう。しかし、全世界が直接つながる中で文化多様性を維持しつつボーダーレス化が進んでいくのであれば、それは人類の新たな時代を切り拓くことになる。

 そう、5万年前に同じ祖を持っていたが、その後世界中に散らばって多様性を高めてきた現世人類が、その多様性を多様性として保ちつつ、一つの集団としての意識を持つ時代がやってくるのである。人の決めた図の上にしかない、人の脳内にしかない「国境」なるもので分断された人類が、再び結びつく時代がやってくるのである。自分自身のアイデンティティーを国家や民族という仮構のものに依拠しつづけようとする人たちはまだ多いが、そのような時代もまもなく終わりを告げるだろう。

 つまり、グローバル化の波の中で、近代国家の賞味期限は終わろうとしている。いや、消費期限を終えたにも関わらず後生大事にしがみつくことによる弊害が極大化しつつある。

 いま、この「憲法前文」という形で、近代国家ひいては国家の憲法そのものの存立意義を否定するような理念を述べるのは確かに矛盾しているが、それが過渡期というものである。

 この憲法をもって、日本国民は、国家・国籍・国境といった枠組みにとらわれず、すべての現世人類を同胞として、常に「和」の精神、すなわち利他の精神をもって接し、「国益」という偏狭な視点を捨てることを目的とする。その最終目標は、近代国家観を地球上からなくすことである。それは当然、地球上から日本国という政体が消えることを意味する。しかし、もちろん、それは他国に征服され蹂躙されることを目的とはしないし、他国の領域に組み込まれることには全力で抵抗する。地球全体が一つの集団となり、その中のすべての人が多数派・少数派に関わらず尊重される状態を目標とするのである。

 我々は今、近代国家のくびきからまっさきに逃れようとしており、それに多大な貢献をなそうとしている。それこそが、かつて「日本人」と呼ばれた集団の偉業として語り継がれる未来を生み出すことこそ、日本国の最後の「国益」となるべきである。

第一条《日本国》 日本国は、地球上の人類の中で暫定的に日本国籍を与えられた人々、その人々によって依託された政府、日本国領域と認識された地球上の一定の区画によって構成される。
2 日本国政府によって日本国籍が与えられた人を日本国民とする。
3 日本国政府は日本国民によって選ばれる。
4 日本国領域の範囲は日本国が宣言する。

第二条《日本国政府の目的》 日本国政府は、全世界全人類にとっての利益を最大化することを最大の目的とし、その中で日本国領域内における人々の幸福と利益を保証するために存在する。
2 日本の国益と他国の利益が衝突する場合、双方が世界益と和の精神をもって解決するよう最大限の努力を払う。

第三条《日本国政府の関与対象》 日本国政府の直接の関与対象は、以下のとおりである。
 一 日本国籍を有する者
 二 日本国籍を満たさない者のうち、以下の条件を満たす者
  ア 日本国籍を有する者の配偶者と子
  イ 日本国領域内に居住する者
  ウ 日本国領域内を一時的に訪れている者
2 第1項のうち、一および二のア、イを日本国民とする。

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