日本のウェブログの歴史(詳細版)[01.ウェブログ超入門!]
(2004-06-23 13:56:16) by 松永英明


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※以下の記事は、もともと『ウェブログ超入門!』の原稿として書かれたものです。しかし、初心者向けには詳細すぎるということでボツになり(当たり前だ)、その内容はリライトして「ウェブログ的表現形態はすでにたくさんある!」(p78?79)とコラム「一部の専門家の道具から一般ネットワーカーの表現ツールへ」(p72)として極めてコンパクトに収録されることになりました。

ここでは、もとの原稿をそのまま掲載することにします。まあそういうわけなので、ネット初心者の方には意味不明かもしれません。また、縦書きを想定した表記をしているので、数字などが漢数字になっていたり、アルファベットが全角だったりするのはご容赦を。

■掲示板という名のコミュニティ――日本のウェブログ史1

●パソコン通信からあやしいわーるどへ

 インターネットが広まる以前、日本で主流だったのは「パソコン通信」というシステムです。インターネットは全世界がつながっていますが、パソコン通信は特定のサービスごとに閉じたサービスです。一九八〇年代から「商用」あるいは個人運用の「草の根BBS」が展開してきました。その中心となったのが電子メールと会議室(掲示板)です。特に大手商用パソコン通信サービスにおける掲示板コミュニティ(フォーラム)は、インターネットの普及以前に、ある程度成熟したものとなっていました。

 インターネットが登場した初期のユーザーの大半は、学生・研究者・IT技術者でした。そして、議論の場としては「ネットニュース」と呼ばれる仕組みが主流でした。その日本語版がfjです。ここでは実名主義が当然のように受け入れられていました。

 しかし、九六年ごろから、ホームページと同じ感覚で閲覧・投稿できる無料掲示板レンタルサービスが始まりました。また、簡易BBSスクリプトが公開され、自分でサーバー上に掲示板を設置することも可能になったのです。

 ここで二つの流れが出てきました。一つは、個人のホームページに、読者が感想や意見などを投稿するための掲示板を設置する方法です。個人向けサービスとしては、T?CUP無料掲示板などが人気を集め、また各種のスクリプトも用意されました。

 もう一つは、掲示板を主体にし、多くのユーザーが集う掲示板コミュニティの成立です。最初に大規模なコミュニティを形成したのは「あやしいわーるど」掲示板でした。九六年にしば氏が開設したアンダーグラウンド/サブカル系情報掲示板です。投稿者名の欄はたいてい空白のままで、誰が誰だかわからない状況の中、ほとんどチャットに近い投稿が毎日のように怒濤のように押し寄せていったのです。

●あめぞう、2ちゃんねるの登場

 しかし、しば氏による「あやしいわーるど」は九八年にトラブルから閉鎖されました。そこで注目を集めたのは、あめぞう氏が開設した「あめぞうリンク」でした。最初は掲示板コミュニティへのリンク集でしたが、自ら掲示板を設置するようになって、ユーザーを集めるようになります。この「あめぞう掲示板」のころから、掲示板コミュニティはアンダーグラウンドから表舞台へと姿を現わすようになりました。

 「あやしいわーるど」では新着の書込みがページの上に積み上げられるスタイルでしたが、これは連続した話題を追いかけにくいという欠点があります。一方、ツリー表示型の掲示板は、関連する話題をまとめて読むには不便です。そこで、あめぞう氏は個々の話題のまとまり(スレッド)が、新しい投稿のある順番に上に上がる形式を編み出したのです。また、話題ごとに掲示板をいくつも設置し、それをまとめて一つのコミュニティとしたのも画期的なことでした。この「あめぞう型」のスタイルは、現在も掲示板コミュニティの多くで受け継がれています。

 やがて、この「あめぞう掲示板」も閉鎖されますが、その混乱の最中、九九年五月に西村博之(ひろゆき)氏が開設したのが「2ちゃんねる掲示板」です。スタイル的にはあめぞう型をそのまま真似、さらにいくつかの機能を追加したものでした。「2ちゃんねる」には、ひろゆき氏の飄々としたキャラクターや、独特の運営スタイルもあって多くのユーザーが集まり、やがて日本のインターネット上の情報コミュニティとして最大規模を誇るようになります。

 これらの匿名掲示板は、良くも悪くも、匿名なるがゆえの「本音が吹き出る」メディアとして機能しているようです。犯行予告なども載る一方で、匿名同士が協力して作品を作り上げるといった動きもあり、独特の人間関係やコミュニティを作り上げています。

●日本の掲示板とウェブログ

 現在の典型的なウェブログは、コメント欄が記事ごとについているため、話題ごとに一つのスレッドができる「あめぞう型」掲示板と似たところがあります。筆者が開設した「女子十二楽坊資料館」サイトでは、個々の記事に投稿できるウェブログスタイルを、来訪者が掲示板として認識してしまった経緯があります。コメントが数十、数百とついてしまうと、ウェブログなのか掲示板なのか、もう区別はつきません。

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