日本のウェブログの歴史(詳細版)[01.ウェブログ超入門!]
(2004-06-23 13:56:16) by 松永英明


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 その後、「Tentative Name」「カトゆー家断絶」「音楽配信メモ」といった影響力の大きい個人ニュースサイトが次々と生まれ、現在もその流れを保っています。

●日本で独自に生まれた「ウェブログ」スタイル

 このように見てきますと、特にコメントの長いコラム型個人ニュースサイトは、日本独自で生まれながらまさにウェブログ的であると言うことができます。また、実際にウェブログへの移行も多く見られるようです。

 個人ニュースサイトと典型的なウェブログの違いとしては、ウェブログではコメントが個々の記事に直接付けられることでしょう。しかし、英米のウェブログでもコメント機能は最近になって登場したものです。起源はまったく違うものの、英米と日本で同時発生的に同じようなサイトが生まれたことは興味深い現象といえるでしょう。

 なお、孫ニュースの伝統として、自分が紹介するURLの情報を知ったサイトの名前を「紹介したいURL(情報元:カトゆー家断絶)」というように書いて、情報元サイトに感謝の意を示しますが、これは日本のウェブログでも受け継がれているようです。

■テキストサイトのインパクト――日本のウェブログ史4

●先行者ショック

 津田日記リンクスの停止から間もない一九九六年七月、「ReadMe!」というランキング型リンク集が開設されました。これは日記ではなく読み物系のページの登録サイトとして展開されていきます。

 テキストサイトとウェブ日記の境界線はそれほど明確ではありません。ただ、ウェブ日記は身辺雑記の傾向が強く、日付を強く意識しているのに対し、テキストサイトは一つひとつの文章の独立性が高い傾向にあるといえます。一九九九年一月二十一日開設の「ろじっくぱらだいす」、同年六月開設の「斬鉄剣」などが人気を集めていきました。

 空前のテキストサイトブームを巻き起こしたのは、二〇〇一年三月三日に発表された一つのテキストでした。サイトの名前は「侍魂」、その運営者「健さん」が自信を持って発表した「最先端ロボット技術」という文章が「侍魂以前・以後」とさえ言われるほどのムーブメントを引き起こしたのです。

 中華人民共和国で最先端ロボット技術として発表された二足歩行ロボット「先行者」をテーマにした軽妙な語り口調の文章は、たちまちネット中から注目を集めました。この文章は文中の文字のサイズや色を巧妙に変え、行間をうまく空けることによって、上手なお笑い芸人や落語家のような笑いの「間」を作り出していました。

 笑えるネタを、さらに笑える文字スタイルで表現した「侍魂」の「先行者」テキスト。これは「フォント弄り系」と呼ばれる模倣サイトを続々生み出すことになります。

 こうして新しく生まれたテキスト系サイトは、こぞって「ReadMe!」に参加し、アクセス数を競うようになっていきました。「侍魂」以前と以後では参加サイト数は倍増しています。

 この後、「侍魂」からリンクされた先行するテキストサイトにもアクセスが増えるようになります。その過程で、サイト間の馴れ合いや抗争も起こっていきました。ちなみに、ウェブ日記に日記読み日記があったように、「ReadMe!」にも「テキストサイトレビュー」が生まれ、これもまた物議を醸しています。

 なお、フォント弄りにはかなりのセンスが必要です。「侍魂」は適切な加工によって笑いを誘っていたのですが、スタイルだけを真似してもまったく面白くなく、逆に読みづらくなってしまいます。そのためか、フォント弄り系はすっかり廃れてしまいました。

●バーチャルネットアイドル(VNI)

 「侍魂」とほぼ時を同じくして開設されたのが二〇〇一年二月十四日スタートの「バーチャルネットアイドル・ちゆ12歳」です。これはサイトの内容としてはテキスト的でもあり、日記的でもあり、個人ニュースサイト的かもしれません。むしろ、そのサイトのスタイルが大きな注目を集めました。タイトルどおり、サイトの運営者はちゆちゃん(十二歳)という架空のアイドル。可愛らしいイラストを添え、ピンク色の背景色でありながら、ちゆちゃんの書く文章は毒と皮肉に満ちたオタクネタ。そして文末には「バーチャルネットアイドル・ちゆは○○を応援しています」と嫌味にしか見えないコメントが添えられるという強烈なインパクトを持っていました。

 ひたすらオタク層のツボを突いたこのサイトは、「侍魂」と並ぶテキストサイト界の超巨大サイトに急成長し、同様のバーチャルネットアイドル(VNI)サイトを生み出す原動力となったのです。

 ちなみに、「ちゆ12歳」を有名にしたのが、個人ニュースサイトの「裏ニュース!」と「19歳日記」からのリンクだったことは興味深いことです。

 大手VNIサイトとしては「ちゆ12歳」に加えて「ウロンのひとりごと」「米(おこめ)」「777's Loop Lights Loom」が「VNI四天王」と呼ばれ、今も続いています。単なる模倣にすぎなかった多くのVNIサイトは自然消滅していきましたが、「バーチャルネット法律娘真紀奈」など今も続く優良サイトもあります。

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